補記すると、デンマークにおけるダイアローグの伝統は1800年代前半に遡る。絶対王政を廃止して、議会民主主議制度を導入するにあたって、当時、国民の8割を占めていた無学文盲に近い農民を対象に、「生きた言葉」による成人教育を行うために、フォルケホイスコーレ(寄宿制の生涯教育)が全国各地に作られることになった。この啓発運動はオープンで啓発的な教育方針と民主主義的な政治と文化の形成に大きな影響を持つことになる。以降、社会のあらゆる分野でダイアローグが展開され、政治、教育、福祉、医療、企業・労働関係、文化・スポーツetc. etc. の公共領域からプライベートな領域(育児、家族、LGBTなどのセクシャアリティ分野など)における日常生活のあり方に、大きく影響を及ぼしていると言える。